【世界一周】5年前の自分に伝えたい事
ー6月1日ー
それは、私にとって、忘れられない記念日になった。
5年前、2013年の6月1日。
24歳の私は一人、飛行機に乗ってマレーシアへ降り立った。
お気に入りの花柄のキャップと、新調したグレーのパーカー、着回しに便利なショートパンツを身に着けて。
片手には、白くて大きなキャリーバッグを転がして、黒くて小さなボディバッグを、身体にしっかり密着させる様に、肩に掛けて。
飛行機は早朝に到着。
空港を出たのは、間もなく朝日が昇る時間だ。
胸が高鳴る。
口元が緩み、勝手に口角が上がる。
『これだ。この感じ・・・。』
何かが待ってる。
不思議と、そんな確信があった。
そして私は、歩いた事もないマレーシアの地を、一人当ても無く歩いた。
そう、その日は
ー世界一周旅行の、始まりの日ー
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『旅に出た、キッカケ(理由)は?』
バックパッカー旅行なんかをしていると、よく聞かれる質問だ。
世間では、“ちょっと変な人達”なのだろう。
日本で普通に(“普通”なんか本当は無いけれど、多数派の考えを元に)生きて居たら、バックパッカー旅行に、行く人の方が少ないから。
その質問に対して私は、詳細に答える事はほとんど無かったと思う。
その理由は、人に簡潔に説明出来る程、話す技術が無かった事が一つ。
(よほど時間があり、相手がその答えを本当に知りたいと思ってくれていない限りは、聞いてる方は疲れたり、飽きるだろう。)
そして、なかなか、他人に理解して貰い難い理由で、旅に出たからだ。
なので、私はいつも
『世界一周したら、自分に自信が付くかなと思って』
『結婚して子供を産んだら、一人旅行なんて中々行けなくなるだろうから。』
『色んな世界を見て、知って、したこと無い事を経験したかったから。』
等と、答えていたと思う。
もちろん、嘘では無い。
むしろ、本当の事ばかりだ。
しかし、私はそんなに強く無かった。
今だから思う事が山程ある。
ー私は、旅に命を救われたー
大袈裟かもしれないが、本当の事なのだ。
※この話もまた、いつか文章にしたい。
私は、自分の事が嫌いで、自信が無く、とても弱かった。
そんな自分が受け入れられず、強がっては、自分の中の理想=“完璧”を目指そうとしていた。
ー完璧なんて、なれる訳ないのにー
その頃の私にとって、人に頼る事も、甘える事も、逃げだった。
(よく甘えては、助けられていたが)
『逃げない、負けない、甘えない!』
当時の自分のスローガンだ。
(仕事に対して、の部分が大きいが)
「アホか」と昔の自分に言ってあげたい。
人の助け無しでは生きて行けないのに。
沢山の人のお陰で、生きてるのに。
一人で抱え込まなくていい。辛い時は、誰かに甘えてもいいし、頼っていいし、自分に負けてもいいのだ。
もちろん、時には逃げる事だって、悪い事ではないのだ。
そう、今思うと、あの時に私が旅に出たのは、日本社会からの「逃げ」だったのかもしれない。
そして、それは、人生への「挑戦」でもあった。
私は、自分に賭けてみたのだ。
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2013年の6月1日から、2014年の2月17日まで、アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカと、旅をした。
白くて大きなキャリーバッグは、インドの悪路が原因で壊れてしまった。
私は街歩き用で持っていたリュックサックに、必要最低限の荷物を詰めて持ち歩いた。
(入り切らない物は、人にあげたり、捨てたりした)
そこで、
生きていく為に必要なものは、そんなに多くない事
を、知った。
そして、バックパッカーならぬ、リュックサッカーと言われる私の“軽量バックパッカースタイル”が生まれた。
(今も荷物の量は、基本的に10kg以下)
そして、見た目にも変化があった。
体重は10kg程増え、日焼けをして黒くなり、化粧もあまりし無くなった。
(顔つきも変わったと言われる。)
以前の私なら、そんな自分は受け入れられ無かっただろう。
旅に出る前の私の見た目は、今と異なる。友達とクラブやバーでオールして遊ぶ事(朝まで遊ぶ事)も好んでしていた。
外見ばかり気にして、少しでも可愛く見せたかった。
(もちろん、それで自信を持つ事は、とても大切で、素敵な事だ)
しかし、実際は、鏡の中の自分でさえ、好きになる事が出来ない。
とてもじゃないけど、私はありのままの自分には、自信を持てなかった。
繕って誰かに愛されて、他己評価が上がった所で、自己評価が上がらないと、本当の意味で満たされる事は無い。
そう、自信とは、心の問題だった。
(例え、整形して、“石原さとみ”になったとしても、おそらく私は自信が無いままだっただろう)
決して、自信が無ければ生きていけない訳ではないが、私が憧れる人は、自分を愛していて、自信を持っている人が多かった。
理想ばかりを追い求め、“自分じゃない自分”になるのは、中々難しい。
人は、心を丸裸にして初めて、ありのままの自分を愛せるのだ。
唯一の救いは、家族や友達が私を理解してくれていた事。
弱さも、強がりも全て知ってくれていた。
(出発の日、サプライズで見送りに来てくれた友達)
(車で関空まで送ってくれた友達)
今思うと、あの日々も楽しかったし、大切な財産であり、そんな私も私なのだが、“本質”は、また違ったのだ。
ー旅でどんどん変化する自分ー
それは、本当は、変化では無かった。
環境に影響され、社会に揉まれ、変化してしまった自分が、元に戻っただけだった。
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ーあの日から、5年ー
私は、多くの大切なものと、気付きを得た。
・世界中の人々との出逢いや、繋がり。
・同じ志を持つ仲間や、新たな夢。
・新しい知識、新しい経験。
・美しい景色を見て、生まれた感情。
・悲しい現実を知って、生まれた感情。
・行動したと言う、実績。
・旅をして大きく変化した未来(現在)。
(アフリカが大好きになりました)
そして、心から実感した事。
帰る場所があるから、安心して旅が出来ているのだ。
(大好きな、モロッコの家族)
人々は、いつも、「飾らない私」でも愛してくれた。ありのままを、受け入れてくれた。
※もちろん、全ての人では無いが、飾らない私を愛してくれる人が、自分の人生で大切にすべき人だと言う事を知った。
ーただ一人、自分だけが、飾らない自分を愛してなかっただけなのだー
本当に、旅に出て良かった。と、心から思う。
失った物は、一つだけ。
ー自分じゃない自分ー
そして、旅を通して
ー私は、「自分の本質」を手に入れたー
それは、元々そこに在ったもの。
それを、否定して、蓋をして、隠していた自分を、私は捨てたのだ。
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自分って何者なんだろう?
何の為に産まれてきたんだろう?
分からなかった。
ただ、ずっと探してはいた。
旅に出て、色んな答えを知った。
一人になる時間が増えて、人に合わせたり、人の目を気にするのをやめた。
そして、自分の好きなものや嫌いなもの、価値観、ペース、目指すべきビジョンを知った。
まだまだ100%自信がありますとは言えないが、前よりは自分の事が好きになった。
今、私は本当に“自分らしく”生きる事が出来ている。
(本当に、皆さんのお陰です)
だから、私は5年前の自分に言いたい。
「旅に出てくれて、ありがとう」
ーーー6月1日は、私の大切な記念日。ーーー
(お陰様で、come back出来ました)
※長い記事ですが、読んでくれて、ありがとうございます。