【海外協力隊】キッカケは、作れる
ー皆が笑顔で、楽しそうに絵を描いている姿に、心の底から喜びを感じたー
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2018年5月のある日。
パラグアイのビジャリカと言う町で、私は「世界を知る授業」をさせて貰った。
私がフリーハンドで描いた世界地図に、皆の描いた各国の象徴の絵が貼られて行く。
この時の感情を忘れたくないので、書き留める事にする。
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事の発端は、ある女性との出会い。
美人でスタイルが良く、小柄の彼女の名前は、「なつき」。(以下、なっちゃん)
なっちゃんは、青年海外協力隊の一員として、今年の1月にパラグアイに派遣されたばかりだった。
青年海外協力隊とは、国(日本)が、途上国の発展の援助をする為に海外ボランティア(人)を途上国に派遣する制度だ。
私もあまり詳しくは知らなかったので、興味が湧いて、活動について様々な質問をしてみた。
が、協力隊の活動は、こう!とは言えない位、多くの分野があり、人によっても、国や地区によっても、本当に「それぞれ」らしい。
なっちゃんがやっているのは、簡単に言うと“経営コンサルタント”だ。
(起業家支援をしている、NGOの活動)
それがまた、すごい。
彼女は、やった事もない事を、人脈も無く、コネも無いこの場所で、一人で始めたのだ。
0から、自分で繋がりを作る。
困っている人はいないか、助けを求めてる人はいないか、自分に出来ることは無いか、必死で考え行動した最初の3ヶ月は、すごく大変だったと話していた。
孤独もあっただろうし、悔しみも沢山あっただろう。
私には到底、分からない辛さもあっただろう。
パラグアイの人々に、生きる力を。考える力を。
話していると、彼女はいつも、パラグアイの人々の為に、一生懸命だと言う事が伝わる。
辛い事も前向きに捉え、努力を止める事なく、ひたすら前進し続けている。
彼女の情熱に、胸を打たれた。
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通常の活動の他に、毎週木曜日は「日本語教室」を開いている、なっちゃん。
※なっちゃんはスペイン語ペラペラ
生徒は、約40人。
しかし、もっと多くの人が日本語を学びたいと思っているらしい。
旅をしていると、いかに日本と言う国(小さな島国にも関わらず)が他国から尊敬されていたり、愛されているのかを知る。
(アニメ、歴史、文化の影響が強い)
なっちゃんと出会ったのは、授業を行う2週間程前の事。
会話の中で、私は彼女の活動する町を訪ねる約束をした。
そして彼女は、絵を描きながら世界を旅する私と、何か出来ないか?と考えていたらしい。
前日に打ち合わせ。
様々な案が出た中、「世界地図に、生徒が描いた各国の絵を貼る」事になったのだった。
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私は今、世界のゲストハウスに、壁画などのアートを描かせて貰いながら、旅をしている。
時々、宿泊客と一緒に絵を描く事もあったが、人前で“絵に関する授業”をした事は無かった。
(今回、具体的に絵の描き方を教えた訳では無いが、不特定多数に、絵を描く機会を作った事がない、と言う意味で。)
絵を描く事は、趣味。
そう言いながらも、心のどこかで“私のこの趣味で、もっと面白い事や、誰かの為になる事を出来ないかな?”と、考えていたんだと思う。
なっちゃんから話を貰った時は、嬉しかったしワクワクした。
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「はい!じゃあ今から30分で、その国を象徴する絵を描いてください!」
なっちゃんが言うと同時に、生徒の手が動き出す。
自分に割り当てられた「国」をイメージして、「絵」にする。
「皆、描けるかなぁ?」
と、心配していたなっちゃんもビックリ。
※なっちゃんは絵を描く事が大嫌い。笑
皆は、楽しそうに、そして一生懸命描いていた。
次々に、絵が貼られ、世界地図が完成して行く。
ーひとつひとつが、可愛いー
たまらなく、愛おしかった。
建物や遺跡の絵を描く人。
動物や人の絵を描く人。
民族衣装や伝統的な楽器を描く人。
国旗や、著名人を描く人。
個性が溢れた。
自由な白いキャンバスが、彩られて行く。
「日本でも出来ないかな?幼稚園や小学校で、需要無いかな?」
私は、そんな事を考えていた。
『“世界”にはこんなに沢山の知らない“国”があるんだ!』
“絵”にする為に、調べて、“知る”。
もし、“興味”が湧いたら、彼らはいつか、“旅”に出るかもしれない。
そんな事を考えると、ワクワクして、楽しくなった。
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他人を、変える事は出来ない。
人間は、それぞれ“心”があって、“頭”がある。
何かを強制するのは、双方に不健康だ。
私が出来るのは、“キッカケ”を作る事。
人生が変わるキッカケも
自分を変えるキッカケも
出逢いのキッカケも
時には別れのキッカケも
幸せになるキッカケは、何処にでもある。
そしてそれは、作る事が出来る。
それがその人の“幸せ”に繋がるかは、やってみないと分からないし(行動)その人次第(思考)なのだ。
※左・終わり際に到着した、バックパッカーの友人
今回、なっちゃんの提案により、やらせて頂いた授業を通して、彼女の活動を知って、感じた事は、私の人生の素敵な“キッカケ”になった。
出逢った瞬間は分からなかったけれど。
出逢った事には、意味があった。
それは、行動したから分かった事。
そして、出逢うキッカケをくれたのは、「民宿小林」さんだ。
あの場所が無かったら、私達は出逢っていないと思うと、不思議な感覚に陥る。
※左・このブログに掲載した写真を撮ってくれた、映像作家のトシさん。素敵な写真をありがとうございます。
そして最後に、彼女はもう一つ私に幸せをくれました。
帰り際に、突然渡された、パラグアイの伝統的な手工芸品「アオポイ」。
しかも、「CHIHIRO」と名前の刺繍入り。
「来てくれたら、おもてなししたいなって、来る前から考えてたんです」
彼女のホスピタリティには、完敗だ。
いつでも、人の為にと考えて動ける彼女は、町の人々にも愛されている様子だった。
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協力隊の活動期間は、2年。
残り1年と、約7ヶ月後には、ビジャリカは今よりも発展していると思う。
なっちゃんの愛ある行動が、実を結ぶ事を、心から願ってます。